大切に守ってきた家族に見守られ
いちばん帰りたかった自宅の居間で静かに息をひきとった。
外泊の許可がでたので午後迎えに行った
夕方から苦しそうだった
「救急車を呼ぼうか?」と言うと
「いい」と首を横にふる
みんなで体をさすっていると
急に「起こしてくれ」と言わんばかりに
孫の肩に手をかけ起きようとする
そっと起こしてあげると
満足したかのようにベットに座っていた
5分くらいずっと座っていたので
「そろそろ横になろう」と寝かせてあげると
母の手をぎゅっとつかんで
「ありがとう」と口をパクパクした
反対側の私をみてうなずいた
その後すぐに「スースー」と静かな息を立て目を閉じた
誰もが「苦しいのが治まって眠れたんだね・・」としか思えなかった
まさかそれが父の最期とは思えなかった
「自宅で最期を迎えられてきっと幸せだったはずですよ」
と担当医が言ってくれた
そうしたくても出来ない人がほとんどだから・・と
その言葉に少し救われた・・
「この病気は普通耐えられない程の痛みに苦しむものですが、
最期まで痛いと言わないし、痛み止めさえ打たなかった患者さんは
ほとんどいないですよ」
真面目に一生懸命生きてきた父へ神様がくれた贈り物かもしれない・・
でも「もっとしてあげられる事があったのに・・早く救急車をよべば・・」
最期の日を後悔してばかりいた
49日の頃は
「病院で寝たきりの毎日だったら、家に連れて帰って介護すればよかった・・」
入院生活を後悔していた
いつも座っていた父の座椅子に父の姿がない時
寂しさが込み上げてきた
無性にもう一度会いたいと思う時があった
時が経つにつれ
最期まで気丈だった父を心から尊敬していた
娘として生まれてきたことを誇りに思う

